歪だけどまっすぐな家族の愛/「そして、バトンは渡された」瀬尾まいこ

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離婚・再婚を繰り返す家庭の子供は幸せなのか?

 

 

多くの人が「幸せではない」と思うかもしれません。

複雑な家庭環境の中で育つ子供の身を案じることでしょう。

 

ただ、ここにいるのはそんな家庭環境の中でも親たちの愛をまっすぐに受けて育った少女でした。

 

さて、今回紹介するのは2019年本屋大賞を受賞した作品

瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」

 

そして、バトンは渡された/瀬尾まいこ

 

 

この表紙を本屋さんで見たことある人はとても多いのではないでしょうか?

僕もよく見かけていたのですが、みなさんはこの表紙はどう思いますか…?

 

正直僕はあまり惹かれなくて、本を手に取るまでかなり時間かかりました。

実際他の作品で瀬尾まいこさんにハマったことがきっかけでこの本もようやく読めました。

僕個人的には表紙で損してるんじゃないかと思う作品の1つです。

 

読んだ後に見直すと意味も凄くわかるので良いのですが、あくまで入りとしてはどうなのか?という感想です。

 

そんなことを差し置いてもこの本、本当に良いです。

ぜひ読んでほしい。

もうこれから最後まで「読んでください」と書き続けたいぐらいの読後感です。

 

しかし、それだけだと皆さんに良さが伝わらないのでしっかりと紹介していきます…!

 

 

本の概要

まずこの本を一言で表すなら、歪だけどまっすぐな家族の絆、とでも言いたいです。

 

歪だけど、まっすぐ。

それはこの話の主人公である優子という少女の環境を表します。

 

女子高生の優子は、家族の形が7回も変わるというかなり特殊な家庭環境を経験しています。

 

物心付く前に母を亡くし、父は海外転勤で別れ、新たな母とともに裕福な家庭に見守れたのもつかの間、東大卒の真面目だけど変わり者の男の娘となります。

今言っただけでも複雑な感じがビンビンしますが、本を読むとそれぞれのストーリーがどれも印象深いのできっと気づけば理解できるようになっていると思います。

 

さて、そんな複雑な家庭環境で育った優子ですが、

「困った。全然不幸ではないのだ」

という言葉から物語が始まります。

 

そう、家庭環境をきっかけに荒れることもなく、すべての親たちからとても温かい、そしてまっすぐな愛情を受けて育ってきたのです。

 

 

物語の構成

物語は2章に分かれていて、優子が高校生時代の第一章、そして大人になった第二章となります。

 

第一章は過去を振り返りながら高校生活を駆け抜け、そして第二章では大人になり新たな一歩を踏み出す様子が描かれています。

いずれも森宮さんという最後のお父さんとの生活が中心となっています。そう、この時は父子家庭なのです。

 

高校生活は球技大会や合唱祭、テストや友達との喧嘩など、高校生としてのイベントが描かれます。しかしそのどれもに優子ならではの家庭環境が色濃く現れて、それが物語をより魅力的にしてくれます。

 

全然不幸ではないと語る優子、そんな彼女がどんな気持ちでこの複雑な家庭環境を捉えて生きていくのか。そしてどう幸せな一歩を踏み出すのか、ぜひ本を読んで楽しんでください。

 

 

あすよみ! おすすめの「2つの魅力」

さて、ここまであらすじを話しましたが、この本は本当に魅力がたくさんあります。

 

まず1つ目は優子の感覚が非常に素直だということです。

 

何度も親が変わる経験を経て、ある意味での無常観を学んだ優子は、どこか達観した様子がありながらも、愛情もしっかりと感じてそれを行動に移せるのです。

 

特に最後の父親である森宮さんに対しては、不満を言いながらもその愛情を受け取って感謝をしています。何かあるとスイーツを買って帰るその様子がとても微笑ましく、優子の素直さや気遣いが美しいと感じます。

 

他にも、友達と揉めて行き違いになったシーンでは、手に付かないほど落ち込むこともなく、淡々と日常を過ごそうとします。たまには一人で過ごすのも悪くないと感じる様子などは、優子の達観した感覚が現れているなと思いました。

 

総じてとても素直で温かい女の子、それが優子の魅力です。

 

しかし僕がそんな主人公の優子より大好きなのがそのお父さん、森宮さんです。

この森宮さんの面白さがもう1つの大きな魅力だと思います。

 

森宮さんは東大卒で一流企業に勤める男性で、優子にとっては3人目のお父さんとなります。

 

森宮さんは当時15歳の優子の父になったときから、優子を最後まで面倒を見る覚悟をしていたと言います。

 

それを聞くととても格好いいのですが、この森宮さんの行動や感覚がちょっとおかしくて面白いのです。

 

始業式というだけでカツ丼を作ったりするし、娘が友達と喧嘩したら連日餃子を作って精を出そうとしたり、夕食後2時間しか経ってないのに夜食を持ってきたりと、ちょっとズレた、いや張り切った父親を全うしようとします。

 

それが森宮さんにとっての父親像であるようで、それをおかしいと思わず自信満々なところが微笑ましいのです。

 

さらに森宮さん、そのズレた感覚のせいなのか、たまに口も悪くなるのもまた面白いのです。

第二章の森宮さんの暴れっぷりが何度読んでも大好きです。

 

 

さて、紹介はこれぐらいにしたいと思います。

ぜひ本を手に取ってこの物語を味わってみてください。

きっと心を掴まれて読み込んでしまいます。

 

 

おわりに 

映画化も決まり、さらに注目が集まる「そしてバトンは渡された」(映画『そして、バトンは渡された』オフィシャルサイト | 10月29日(金)公開

ぜひまだ読んでない人は手にとって見てください。

1年の中でもこんなにいい本はなかなか出会えないと思います!

 

 

 

そしてこの本が良いと思ったらぜひ他の瀬尾まいこさんの作品も読んでみてください!

僕もまだまだ開拓中ですが、温かくて、ほっこしりして、そして熱い作品もあります。

あすよみの記事でもたくさん紹介しています!

 

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これからもたくさんの瀬尾まいこさんの作品を楽しんで、そして皆さんにもご紹介していきたいと思います。

お楽しみに!

 

それではまた!