雨の日を「好きだ」と思える人はどれくらいいるでしょうか。
こんにちは、雫です。
本日はこちらの本を紹介します。
「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」福徳秀介
ジャルジャル福徳さんの、小説デビュー作です。
2020年のキングオブコントでも優勝するほどのコントの実力がありながら、こんな才能もあったのかと驚きました。
恋愛小説だと聞いていたので、純粋な青春っぽい感じかなと思っていたのですが、もっと深く、もっと心に刺さる本でした。
ほろ苦い恋愛小説を読みたい方にはおすすめです!
あらすじ
関西大学に通う主人公の小西は、大学に友達が一人しかいません。
一人でキャンパス内を歩くときは自分を守るために日傘を差し、一人でいることの言い訳を作ります。
そんなある日、食堂で一人で堂々とざる蕎麦を食べる女性を見かけ、気になって仕方がありません。
また自分の中で言い訳を作り、なんとかして近づいていきます。
地味な大学生の小西も、ようやくきらきらした青春を楽しめる、はずでしたが…。
こんな人におすすめ!
・学校で孤独に耐えている人
・人目を気にしてなかなか行動できない人
・甘酸っぱくて泣ける物語が読みたい人
楽しそうにはしゃいでいる男女グループを見ると、一人で行動している自分が恥ずかしい。
そんな気持ちになる方もいるのではないでしょうか。
誰もが共感できるような感情が鮮明に描かれています。
おすすめポイント
祖母の名言
小西の亡き祖母とのエピソードが多々出てきます。
祖母の、深く突き刺さる言葉が印象的でした。
中でも特に私が気に入ったものをいくつか紹介します。
空は毎日変わる。今日の空は今日しか見れないんやで。
今日の空が一番好き!って思わないとアカンよ
まさにタイトルにもなっている大事なシーンです。
今日の空が一番好き、って毎日思えるのは素敵ですよね。
「恥ずかしいときは、自分を他人と思いなさい。すると、これっぽっちも恥ずかしくないから」
なかなかそうは思えないのが人間だとは思いますが、この考えだけで恥ずかしいことがあっても救われた気持ちになるのではないかと感じました。
不器用な主人公
主人公の小西は友達が山根一人だけで、山根といるとき以外は日傘をさして自分を守ります。
そんなふうに過ごしているので、気になる子に話しかけるのも、理由をつけないといけません。
出席カードを代わりに出してもらうことを口実に話しかけたり、「自分の進行方向に偶然彼女がいる」という言い訳をしてあとを追ったり。
不器用だなと思いますが、そこが可愛らしくも思えます。
コントとのギャップ
ジャルジャルといえば、独特なコントが特徴です。
くだらないけどなぜか笑える。
そんなコントとは裏腹に、小説はもっと繊細で深いものでした。
その普段のコントとのギャップを楽しみながら読むのもおすすめです。
自身の出身である関西大学を舞台にしているので、これはもしかしたら少しは自分の経験も入っているのかな?と思いながら読んでいました。
さいごに
後半から一気に重くなってきますが、読み終わったあとは不思議と爽快感のある本です。
大学のキャンパスを歩いている想像をしながら、読むといいのではないでしょうか。
キングオブコント優勝者の小説デビュー作、ぜひ読んでみてください!
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