100円から始まる悲劇/「銀色の青」笑い飯 哲夫

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 こんにちは、雫です。

 

 2019年もどんどん本を紹介していくので、よろしくお願いします!

 

 

本日ご紹介する本はこちら。

 

「銀色の青」笑い飯 哲夫

 

 

お笑いコンビ笑い飯の哲夫さんが書いた小説です。

 

私は本も好きですが、関西で育っているだけあって、お笑いもけっこう好きなんです。

なので芸人さんが書いた小説ということに魅かれました。

 

普段単行本はあまり買わずに文庫化するのを待つタイプなのですが、どうしても気になって思わず買ってしまいました。

 

内容を全く知らずに買った本でしたが、思った以上に衝撃的でした。

 

誰もが味わったことのあるような感情が一気に押し寄せてきます。

 

去年の年末に読んだのですが、私が2018年に読んだ本の中で最も衝撃を受けた一冊です。 

 

 

こんな人におすすめ!

思っていることを口に出せない人

・思っていることを口に出せない人の気持ちを理解したい人

・主人公に感情移入したい人

 

相手の反応が気になって、思っていることをなかなか伝えられない、という方にはすごく気持ちが分かる本だと思います。

 

あらすじ

 

高校生の清佐は、「親友」の弥太郎と休み時間等を共に過ごしていた。

 

果たして弥太郎は自分にふさわしい友達なのかと考えを巡らせることはたびたびあるが、周りからは「親友」だと見られていた。

清佐自身も、弥太郎と「親友」であると誇示することで、クラス内での地位が上位になるような気がしていた。 

また清佐は、野球部に所属しており、日本のメジャーなスポーツに携わっているという優越感があった。

 

そんな日常を送っていた清佐だったが、ある日突然悲劇は起こった。

 

もたらしたのは、野球部のエースであるベースだった。

(ちょっとややこしいけどベースという名前です笑)

 

「ちょお田中、100円貸してくれんか」

 

ベースのこの一言が清佐の人生を狂わせたのだった。

 

その日からというもの、清佐の脳内には常に100円が頭をよぎる。

 

しかしベースは一向に返してくれるそぶりはない。

 

100円ごときを補欠の清佐ごときが、野球部のエースなんかに返せなんて言えない。

そんな小さいことを気にしているのかと思われそうで、でも何も言わなければこのまま一生返してくれないかもしれない。

 

ずっとそんなことを考え続け、それが連鎖になっているようにさらなる誤解や困難が降りかかる。

  

落として落としてさらに落として、上げて落としてどん底まで落としてもっと落として上げて落とされるようなお話です。

 

 

一体どんな悲劇が起こるのか、100円は返ってくるのか。

気になるところですね。

  

おすすめポイント!

 

だいたいのストーリーが分かったところで、特におすすめしたいポイントをご紹介します。

 

心理描写・情景が鮮明

 

さすが芸人さん!と感じるぐらい、描写が鮮明なのが特徴の一つかなと思います。

 

通学路に咲いている彼岸花や、教室の雰囲気など、とても細かく描かれています。

一つの描写をするのに使う言葉の選び方も巧みだな、と感じました。

 

清佐の心情も詳細に書かれているので、主人公と同じ立場から物事を考え、状況を理解することができます。

 

 

ただ、本当に細部までよく考えられているなと感心してしまうほどの詳細な描写ですが、逆にそれによってじっくり読まないと思い浮かびにくいかもしれません。

 

なので、読書を全くしたことがなくてこれがほぼ初めて、という方は、別の本から読んで少し読書に慣れてからがいいかと思います。

 

100円引っ張りすぎ

 

貸したのになかなか返ってこない100円のことを、清佐はとにかく考え続けます。

 

100円を貸したのにお礼も言ってくれない、いやこれが普通なのか?

とか、

100円を返してほしいけど返してとは言えない。

そんな小さいことに執着していると思われたくない。

でも言わないと一生返してもらえないのではないか。

とか。

 

何をしていても100円のことが脳裏に浮かぶ清佐。

 

いやそんなに100円に固執しなくても、とツッコみたくなるほどです(笑)

  

主人公の気持ちが痛いほど分かる

 

ツッコミを入れたくなるぐらい 100円のことばかり気にしている清佐ですが、きっと皆さんも清佐の気持ちが理解できてしまうはずです。

 

誰もが一度は抱いた「あの気持ち」が苦しくなるほどよみがえる

これは本の帯に書かれている一文ですが、まさにそのとおりでした。

 

 

100円を早く返してほしいけど、そんな小さいことを気にしているのか、と思われそうでなかなか言えない。

小さいことを気にしていると思われないような言い方が分からない。

 

清佐の立場になって考えた時、皆さんならさっさと100円返して、と言えますか?

 

私は言えません。

 

なかなか言い出せずにいるうちに、時間が経ってもっと言いにくくなってしまった、なんてことはありませんか?

 

この「銀色の青」は、そんな皆さんの苦い思いに痛いほど突き刺さると思います。

 

 

私も清佐と同じように、相手がどう思っているか必要以上に考えてしまったり、小さいことでも馬鹿みたいに心配してしまったりする性格なので、清佐の気持ちがすごくよく分かりました。

 

分かりすぎて途中から読むのが辛くなってしまったほどです(笑)

 

そんな、思っていることを口に出せない、相手の顔色が気になる、という誰もが抱えている気持ちを代弁してくれているような物語です。

 

 それにしても100円引っ張りすぎ

 

100円気にしすぎでしょ、でもその気持ちも分かる。

という思いで読み進めていきますが、清佐はいつまで経っても100円のことばかり考えています。

 

少しでも言えそうな雰囲気があったら頭の中で会話のシミュレーションを始めます。

それでも結局言えずにいるうちに、事態はどんどん悪化していきます。

 

読者の皆さんは、さすがにここまできたら早く返してって言えばいいのに、ともどかしくなってくるでしょう。

 

痛いほど気持ちが分かるのに、それでも気にしすぎと思ってしまう。

でも気持ちが分かる。でも気にしすぎ。

 

その共感ともどかしさのバランスが素晴らしくて、辛いのに面白い、という不思議な感覚になります。

 

衝撃的なラスト

 

一体清佐はなぜここまで100円にこだわるんだろう?

こんなに引っ張って最後はどうなるんだろう?

 

そう思っている方も多いと思いますが、ラストは想像もしていなかった展開でした。

どんでん返し、というより、きれいなオチのあるお話という印象です。

 

また、最後に約3ページにわたって清佐のお母さんが話すシーンがあります。

母の偉大さが分かるようなセリフに感銘を受けました。

 

個人的に好きなシーンなので、ぜひとも注目して読んでみてください!笑

 

まとめ

 

ここまで読んでくださった方ならもう聞き飽きたと思いますが、主人公が必要以上に100円に囚われるお話です。

 

日常的な高校生の日常的な生活。日常的なクラスメイトとの会話。にもかかわらず、ここまで話を広げられるのは本当にすごいと思いました。

 

ただ本当の面白さは読まないと分からないので、少しでも気になった方はぜひ読んでみてください。

 

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 それではまた次の記事でお会いしましょう!